交付等状況報告書の書き方|マニフェストの年度の報告の期限、様式第三号の欄、建設工事の現場のまとめ方
交付等状況報告書は、紙のマニフェストを交付した事業者が、毎年6月30日までに、前年度に交付した管理票の状況を都道府県知事に出す報告です。様式第三号の欄は、産業廃棄物の種類と委託先ごとの排出量と交付枚数で、建設会社は複数の現場をまとめる決まりがあります。この記事では、期限、まとめ方、集計の例を説明します。
目次
年度が替わると、建設会社の事務所では、前の年度に交付したマニフェストの束を数える作業が始まります。交付等状況報告書は、紙のマニフェストを使っている事業者に毎年かかる報告で、出し忘れると手続きの漏れになります。一方で、何をどの単位で書くのかが分かりにくく、毎年同じところで手が止まるという声もよく聞きます。
この記事では、株式会社サンプル解体(工事部 山田 太郎)が、2026年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)に交付した紙のマニフェスト8枚をまとめて報告する場面を例にします。社名・数量はすべて架空です。決まりは、e-Gov 法令検索で確かめた廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)と同法施行規則、施行規則の様式第三号の内容だけを書いています。
交付等状況報告書とは|第12条の3第7項の報告
交付等状況報告書は、廃棄物処理法 第12条の3第7項にもとづく報告です。条文では、管理票交付者(マニフェストを交付した事業者)は、管理票に関する報告書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない、と決まっています。報告の中身は、施行規則 第8条の27で決まっています。
交付等状況報告書の基本を表にまとめます。
| 項目 | 決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 出す人 | 管理票交付者(紙のマニフェストを交付した事業者) | 法 第12条の3第7項 |
| 単位 | 産業廃棄物を排出する事業場ごと | 施行規則 第8条の27 |
| 期限 | 毎年6月30日まで | 施行規則 第8条の27 |
| 対象の期間 | その年の3月31日以前の1年間(前年4月1日〜3月31日)に交付した管理票 | 施行規則 第8条の27 |
| 様式 | 様式第三号 | 施行規則 第8条の27 |
| 出す先 | 事業場の所在地を管轄する都道府県知事(政令市・中核市は市長) | 施行規則 第8条の27 |
ポイントはここです。交付等状況報告書は、紙のマニフェストを交付した分の報告です。電子マニフェストで登録した分は、法 第12条の5第9項と施行規則 第8条の36で、情報処理センター(JWNET)が都道府県知事に報告することになっているので、事業者が出す報告書には入れません。紙と電子を両方使っている会社は、紙の分だけを集計します。
交付等状況報告書の事業場のまとめ方|建設工事の現場
交付等状況報告書は事業場ごとに出しますが、建設工事の現場は数か月で終わり、場所も毎回違います。この点について、施行規則 第8条の27には次の決まりがあります。
同じ都道府県(政令市・中核市の区域ではその市)の区域内に、設置が短期間であり、または所在地が一定しない事業場が2つ以上ある場合には、その2つ以上の事業場を1つの事業場とする。
| 現場の状況 | まとめ方 |
|---|---|
| 〇〇県内で3つの解体現場(それぞれ数か月) | 〇〇県の分として1つの事業場にまとめる |
| 〇〇県内の現場と、△△市(政令市)内の現場 | 〇〇県の分と△△市の分に分け、それぞれに出す |
| 同じ場所で何年も続く工場の建設 | 短期間とは言いにくいので、窓口に扱いを確かめる |
つまり、建設会社は「現場ごと」ではなく、「都道府県(政令市・中核市)ごと」にまとめて出すことが多くなります。どの市が政令市・中核市に当たるか、また窓口の受け付け方(電子申請の有無など)は、出す先の自治体の案内で確かめてください。
交付等状況報告書の様式第三号の欄
交付等状況報告書の様式第三号は、上に報告者と事業場の欄、下に産業廃棄物の種類ごとの表があります。
| 欄 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 年度 | 報告する年度 | 2026年度 |
| 報告者 | 住所、氏名(法人は名称と代表者の氏名)、電話番号 | 株式会社サンプル解体 代表取締役 山田 一郎 |
| 事業場の名称・所在地 | 報告する事業場 | 〇〇県内の建設工事現場(まとめて1つ) |
| 業種 | 日本標準産業分類の中分類 | 総合工事業 |
| 産業廃棄物の種類 | 法令の種類の名前 | がれき類 |
| 排出量(t) | 交付した管理票の数量の合計 | 38.2 |
| 管理票の交付枚数 | 交付した枚数 | 3 |
| 運搬受託者の許可番号・氏名または名称 | 収集運搬業者 | 第00000000000号 株式会社サンプル運輸 |
| 運搬先の住所 | 運んだ先 | 〇〇県サンプル市△△1-1 |
| 処分受託者の許可番号・氏名または名称 | 処分業者 | 第00000000000号 株式会社サンプル再生 |
| 処分場所の住所 | 処分した場所 | (運搬先と同じなら書かなくてよい) |
様式第三号の注意には、次のことが書かれています。産業廃棄物の種類と委託先ごとに書くこと、業種は日本標準産業分類の中分類を書くこと、石綿含有産業廃棄物などが含まれる場合は種類の欄にその旨を書くこと、処分場所の住所が運搬先の住所と同じなら書かなくてよいこと、区間を区切って運搬を委託した場合や再委託があった場合は、区間ごとの運搬受託者や再受託者をすべて書くこと、です。
排出量の単位はトンです。マニフェストを㎥で交付している場合は、トンに換算して書きます。換算の根拠は、処理業者の計量の値や、自治体・環境省が示している換算係数の表などから、自社で決めたものを毎年同じように使います。
交付等状況報告書を作る流れ
交付等状況報告書は、年度の途中から交付の記録をつけておくと、年度末の作業が短くなります。
- 交付を記録するマニフェストを交付するたびに、日付・番号・種類・数量・委託先を1行書く
- 戻りを確かめるB2票・D票は交付から90日、E票は180日以内に戻ったかを確かめる
- 事業場をまとめる同じ都道府県(政令市・中核市)の短期間の現場を1つの事業場にまとめる
- 種類と委託先で集計する種類×運搬受託者×処分受託者ごとに、排出量と交付枚数を足す
- 様式第三号に写して出す6月30日までに、事業場の所在地を管轄する知事(市長)へ出す
戻りの確認は、報告書とは別の決まりですが、年度末に記録を見直すときに一緒に確かめておくと安心です。施行規則 第8条の28で、運搬・処分の終了の写し(B2票・D票)は交付から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、最終処分の終了の写し(E票)は交付から180日以内に戻るはずの期間になっています。戻らないときは、施行規則 第8条の29で、状況を確かめて措置を講じ、期間が過ぎた日から30日以内に様式第四号で知事に報告することになっています。
交付等状況報告書の集計の例
交付等状況報告書の集計を、株式会社サンプル解体の2026年度の記録で示します。まず、交付した管理票の記録です。
| 交付日 | 現場 | 種類 | 数量 | 運搬受託者 | 処分受託者 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年5月12日 | サンプル邸 解体 | がれき類 | 12.4t | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 |
| 2026年5月14日 | サンプル邸 解体 | 木くず | 4.2t | 株式会社サンプル運輸 | サンプル木材リサイクル株式会社 |
| 2026年6月3日 | サンプル邸 解体 | がれき類 | 10.8t | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 |
| 2026年8月20日 | 〇〇ビル 改修 | 廃プラスチック類 | 1.6t | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル環境 |
| 2026年9月2日 | 〇〇ビル 改修 | ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 2.3t | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル環境 |
| 2026年11月18日 | △△倉庫 解体 | がれき類 | 15.0t | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 |
| 2026年12月8日 | △△倉庫 解体 | 木くず | 3.6t | 株式会社サンプル運輸 | サンプル木材リサイクル株式会社 |
| 2027年2月15日 | △△倉庫 解体 | 金属くず | 2.1t | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル金属 |
3つの現場はどれも〇〇県内で、数か月で終わる現場なので、1つの事業場にまとめます。これを種類と委託先ごとに集計すると、様式第三号の表は次のようになります。
| 種類 | 運搬受託者 | 処分受託者 | 排出量 | 交付枚数 |
|---|---|---|---|---|
| がれき類 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 | 38.2t | 3枚 |
| 木くず | 株式会社サンプル運輸 | サンプル木材リサイクル株式会社 | 7.8t | 2枚 |
| 廃プラスチック類 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル環境 | 1.6t | 1枚 |
| ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル環境 | 2.3t | 1枚 |
| 金属くず | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル金属 | 2.1t | 1枚 |
合計は、排出量52.0t、交付枚数8枚です。この表に、運搬受託者と処分受託者の許可番号、運搬先の住所を足して、様式第三号に写します。
記録を見直すと、12月8日に交付した木くずの管理票は、2027年4月10日の時点でD票が戻っていませんでした。交付から90日を過ぎているので、処理業者に状況を問い合わせ、施行規則 第8条の29の措置と報告が要るかを確かめます。報告書を作る作業は、こうした戻りの漏れを見つける機会にもなります。
交付等状況報告書の数字を合わせるときのこつ
交付等状況報告書の数字は、委託契約書や請求書の数字と合わない、ということがよく起きます。原因の多くは、集計の期間と数量の単位の違いです。報告書は「交付した日」で年度を分けるので、3月末に交付して4月に処分が終わった管理票は、交付した年度の報告に入ります。請求書は処理が終わった月で締めることが多いので、ここで1か月ずれます。
| 合わない原因 | 確かめること |
|---|---|
| 年度の境目の管理票 | 交付日で年度を分けているか |
| 単位の違い | ㎥で交付した分をトンに換算したか |
| 種類の書き方の揺れ | 「がれき類」と「コンクリートがら」が混ざっていないか |
| 区間を分けた運搬 | 区間ごとの運搬受託者をすべて書いたか |
集計の前に、交付の記録の種類の欄を法令の名前にそろえておくと、種類ごとの合計が一度で出ます。
交付等状況報告書でよくある間違い
交付等状況報告書でよくある間違いを、欄の名前で並べます。
| 欄 | よくある間違い | 直し方 |
|---|---|---|
| 年度 | 暦年(1月〜12月)で集計してしまう | 前年4月1日〜3月31日に交付した分で集計する |
| 事業場 | 現場ごとに何枚も出す、または県外の現場まで混ぜる | 同じ都道府県(政令市・中核市)ごとにまとめる |
| 産業廃棄物の種類 | 「混合廃棄物」「建設廃材」と書く | 法令の種類の名前で書く |
| 排出量 | ㎥のまま書く | トンに換算して書く |
| 委託先 | 種類だけで足して、委託先ごとに分けていない | 種類と委託先の組み合わせごとに行を分ける |
| 電子マニフェスト | 電子で登録した分まで足す | 紙で交付した分だけを書く |
交付等状況報告書を無料エクセルで集計するには
交付等状況報告書の集計表は、交付したマニフェストを1行ずつ書くと、様式第三号の「種類と委託先ごとの排出量・交付枚数」が自動で集計される無料のエクセルです。年度を入れると、対象の期間と提出期限(翌年の6月30日)が出ます。集計の表に種類・運搬受託者・処分受託者を書くと、SUMIFSとCOUNTIFSで排出量と交付枚数が出ます。
| 産業廃棄物管理票 交付等状況報告書の集計表(様式第三号の下書き) | ||||||||||
| 年度 | 2026 | 2026年4月1日〜2027年3月31日に交付した分/提出期限 2027年6月30日 | ||||||||
| 事業場の名称 | 〇〇県内の建設工事現場(短期間の事業場をまとめて1つ) | 業種 | 総合工事業 | |||||||
| 事業場の所在地 | 〒000-0000 〇〇県サンプル市□□町5-6-7(本社) | 提出先 | 〇〇県知事 | |||||||
| 基準日(戻りの確認に使う) | 2027/04/10 | 同じ都道府県(政令市)で短期間・所在地が一定しない現場が2つ以上あれば、1つの事業場にまとめて報告します(規則 第8条の27)。業種は日本標準産業分類の中分類。 | ||||||||
| 1.交付した管理票の記録(紙のマニフェスト) | ||||||||||
| No. | 交付日 | 交付番号 | 現場名 | 産業廃棄物の種類 | 数量(t) | 運搬受託者 | 処分受託者 | D票の戻り日 | E票の戻り日 | 確認 |
| 1 | 2026/05/12 | A-0001 | サンプル邸 解体 | がれき類 | 12.4 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 | 2026/05/20 | 2026/06/25 | 完了 |
| 2 | 2026/05/14 | A-0002 | サンプル邸 解体 | 木くず | 4.2 | 株式会社サンプル運輸 | サンプル木材リサイクル株式会社 | 2026/05/22 | 2026/07/01 | 完了 |
| 3 | 2026/06/03 | A-0003 | サンプル邸 解体 | がれき類 | 10.8 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 | 2026/06/10 | 2026/07/15 | 完了 |
| 4 | 2026/08/20 | A-0004 | 〇〇ビル 改修 | 廃プラスチック類 | 1.6 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル環境 | 2026/08/28 | 2026/10/30 | 完了 |
| 5 | 2026/09/02 | A-0005 | 〇〇ビル 改修 | ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 2.3 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル環境 | 2026/09/10 | 2026/11/20 | 完了 |
| 6 | 2026/11/18 | A-0006 | △△倉庫 解体 | がれき類 | 15 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 | 2026/11/26 | E票待ち | |
| 7 | 2026/12/08 | A-0007 | △△倉庫 解体 | 木くず | 3.6 | 株式会社サンプル運輸 | サンプル木材リサイクル株式会社 | D票が90日を過ぎても戻らない | ||
| 8 | 2027/02/15 | A-0008 | △△倉庫 解体 | 金属くず | 2.1 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル金属 | 2027/02/20 | E票待ち | |
| 9 | ||||||||||
| 10 | ||||||||||
| (空欄があと10行つづきます) | ||||||||||
| 戻りの期限(規則 第8条の28):運搬・処分の終了の写し(B2票・D票)は交付から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、最終処分の終了の写し(E票)は交付から180日。戻らないときは状況を確かめて措置を講じ、期間が過ぎた日から30日以内に知事へ報告します(規則 第8条の29)。 | ||||||||||
| 2.様式第三号に写す集計(産業廃棄物の種類と委託先ごと) | ||||||||||
| 番号 | 産業廃棄物の種類 | 運搬受託者 | 処分受託者 | 排出量(t) | 管理票の交付枚数 | 運搬受託者の許可番号 | 運搬先の住所 | 処分受託者の許可番号 | 処分場所の住所 | |
| 1 | がれき類 | 株式会社サンプル運輸 | 株式会社サンプル再生 | 38.2 | 3 | 第00000000000号 | 〇〇県サンプル市△△1-1 | 第00000000000号 | ||
(この下に9行あります。全体はダウンロードしたExcelで見られます)
交付の記録の表には、D票とE票の戻り日の欄があり、基準日を入れると、90日・180日を過ぎても戻らない管理票に印が出ます。委託先と結ぶ契約書の条項は、産業廃棄物の委託契約書の記事で説明しています。種類の書き方は産業廃棄物の種類の記事を見てください。提出は窓口の最新の様式で行ってください。
交付等状況報告書のよくある質問
交付等状況報告書は、マニフェストを1枚も交付しなかった年も出しますか?
施行規則 第8条の27は、交付した管理票の交付等の状況についての報告と決めています。交付がなかった年の扱いは、自治体によって案内が違うことがあるので、出す先の窓口に確かめてください。
交付等状況報告書は、現場ごとに出すのですか?
報告は事業場ごとですが、同じ都道府県(政令市・中核市)の区域内に、設置が短期間または所在地が一定しない事業場が2つ以上あるときは、1つの事業場にまとめます。建設工事の現場はこれに当たることが多くあります。
電子マニフェストだけを使っている場合も、交付等状況報告書は要りますか?
電子マニフェストで登録した分は、情報処理センターが都道府県知事に報告します(法 第12条の5第9項・施行規則 第8条の36)。紙で交付した分がなければ、事業者が報告する分はありません。
交付等状況報告書の排出量は、どの単位で書きますか?
様式第三号の欄は「排出量(t)」なので、トンで書きます。㎥で交付した分は、自社で決めた換算の根拠でトンに直します。
交付等状況報告書のまとめ
交付等状況報告書は、紙のマニフェストを交付した事業者が、年度ごとの交付の状況を知事に出す報告です。
- 毎年6月30日まで、前年4月1日〜3月31日に交付した分を、様式第三号で
- 事業場ごとに出す。建設の現場は、同じ都道府県(政令市・中核市)ごとにまとめる
- 種類と委託先ごとに、排出量(t)と交付枚数を書く
- 電子マニフェストの分は、情報処理センターが報告するので入れない
- 年度末の見直しで、戻っていないD票・E票も確かめる
まずは今年度に交付したマニフェストを、テンプレートの交付の記録に入れ始めてみてください。年度末には、様式第三号の数字がそろっています。
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